──「求める側」も「応えきれない側」も、安心していられる関係のつくり方
カップルの間で、性欲のバランスが合わない──
これは、恋愛や夫婦関係のなかでも非常に多く、でも語られづらい悩みです。
- 「私はもっと求めたいのに、相手に嫌がられるのが怖い」
- 「相手の性欲についていけないけど、申し訳なくて断れない」
- 「したい・したくないの感覚が違って、心がすれ違っていく…」
そんな“ズレ”は、気づかぬうちに関係の根っこを傷つけてしまうことも。
でも、どちらかが“我慢”するのではなく、“ちょうどよくすり合わせる”ことはできます。
この記事では、性欲に差があるカップルが、心地よく過ごすための具体的な工夫をお届けします。
相手を尊重しながら、自分の気持ちも大切にする関係を築くために。
1. そもそも「性欲の差」はあって当たり前
まず前提として知っておきたいのは、性欲には個人差があるのが当然だということ。
- 年齢・体調・生活リズム
- 性ホルモンの分泌バランス
- 性に対する価値観・育った環境
- パートナーシップに求めているもの
これらが複雑に絡み合って、「性欲の強さ」は人それぞれ。
さらに、カップルの間では、
- 一方が性欲旺盛／一方が淡白
- タイミングのズレ（夜型・朝型など）
- 性的な優先度の違い（体のつながりを重視するか、心の安心感が大事か）
といった要素が「すれ違い」を生みやすくします。
だからこそ、性欲が違う＝合わない＝悪い関係と短絡的に考えるのではなく、
「どうしたら2人で心地よく過ごせるか？」という視点が何より大切です。
2. 「性欲の強さ」は“体質”のようなものと考える
性欲の差があると、どうしても片方が「自分が異常なのかも」「我慢させてしまってるかも」と自責に陥りがちです。
でも、性欲は身長や睡眠のタイプ、食の好みと同じように“体質的なもの”として捉えると、気持ちが少しラクになります。
- 「たくさん食べる人」と「小食の人」がいても、どちらが悪いわけでもない
- 「暑がり」と「寒がり」が同じ部屋にいても、話し合えば調整できる
同じように、「求めたい頻度」が違うからといって、“どちらかが間違っている”ということではありません。
まずは、「自分と違う相手の性欲」を否定せず、ただ知ることから始めること。
それだけでも、関係のすれ違い方は変わってきます。
3. 求めたい側・応えづらい側、どちらも“本音”を飲み込まないこと
一方が「したい」、一方が「いまは気分じゃない」──
このすれ違いが繰り返されるうちに、
- 求めたい側 →「また拒否されるかも」と萎縮してしまう
- 応えづらい側 →「無理してでも応えなきゃ」とプレッシャーを感じる
と、お互いに“本音”を言えなくなっていきます。
結果として、
- 物理的な距離ができてしまう
- セックス＝重い・面倒・苦しいものになる
- 性欲が原因で、関係そのものがぎくしゃくしてしまう
こうした悪循環を避けるためにも、「心の声」を小さなうちに共有することが大切です。
4. 伝えるときは「お願い」より「気持ち」で伝える
性について話すのは、誰にとっても勇気がいること。
でも、伝え方を工夫するだけで、2人の関係はずっとやわらかくなります。
求めたい側からの伝え方例：
- 「あなたと触れ合えると、すごく安心できるんだ」
- 「求めてもらえたら嬉しいなって思っちゃうことがあるの」
- 「愛されてるって感じられる時間を、もっと大事にしたいなって」
→ 相手に「責められてる」と感じさせず、自分の願いを“感情のかたち”で伝えるのがポイント。
応えづらい側からの伝え方例：
- 「あなたのことは大好き。でも、いつも元気とは限らなくて…」
- 「気持ちがあるのに、身体がついてこないことがあって申し訳ないと思ってる」
- 「無理せずに、2人でちょうどいいペースを見つけていけたら嬉しいな」
→ 避けてるのではないという気持ちを“誠実に伝える”ことで、相手の誤解や不安を和らげられます。
5. セックス以外の「親密さの形」を増やす
性欲に差があるカップルにとって大切なのは、「性＝つながりのすべて」にしないこと。
つまり、セックスだけに“安心感”や“愛情確認”を集中させすぎないことです。
たとえば…
- 手をつなぐ、ハグする、頭を撫でるなど“軽いスキンシップ”を日常に
- 同じソファで過ごす、寝る前に会話をする、マッサージをする
- 手紙やメッセージで、セックス以外の愛情を伝え合う
このような“心と身体のつながり”をセックス以外でも確保することで、
性欲の差があっても、愛情が揺らがない安心感を築くことができます。
6. 「ペース」や「習慣」を工夫するという視点を持つ
セックスにおけるすれ違いは、「性欲の強弱」だけでなく「タイミングの合わなさ」も関係しています。
- 夜は疲れていて無理だけど、休日の朝ならゆとりがある
- 1週間に1回ならOKだけど、毎日はしんどい
- 言葉では誘いにくいから、ルーティン的にスキンシップの時間を持ちたい
など、“頻度・タイミング・表現のしかた”を2人で調整してみましょう。
たとえば：
- スキンシップデーを作る
- ボディタッチの合図を決めておく
- 拒否されたときの代替案（ハグで終える、翌日フォローする）を持っておく
工夫することは、妥協とは違います。
2人にとっての「ちょうどいい」を探す前向きな行動です。
おわりに：性欲の差を“すり合わせられる関係”が、強い
性に関することは、とても個人的で、誰にでも話しにくいテーマです。
でも、だからこそ、パートナーとの間に「話せる」「工夫できる」「歩み寄れる」という土壌があると、関係はより深く、あたたかいものになります。
性欲に差があるのは、当たり前。
我慢しすぎないこと。責め合わないこと。
自分たちらしい愛の形を模索していきましょう。
