──自分だけの世界で、心と身体が重なった5つのストーリー
誰かに話すことも、検索することも、ちょっとためらってしまう「妄想自慰」。
けれど、実はとても多くの女性が、“現実では叶わない物語”を心に描きながら、自分の身体と向き合っています。
- すれ違っただけの知らない人
- 漫画やドラマのキャラクター
- 同性の友人
- 誰かに支配される想像
妄想の中でしか叶わないことが、心を癒やしてくれることもあります。
ここでは、20〜30代の女性たちに聞いた、妄想をきっかけに自分を抱きしめた夜の物語を、5つご紹介します。
■Case.01「彼に甘く名前を呼ばれる妄想で、全部ほどけてしまった」
(27歳・営業事務)
仕事帰り、電車の中。窓に映る自分の顔は、少し疲れて見えた。
お客様対応で神経をすり減らした1日。
いつもならコンビニでお菓子を買って帰るけど、この日はまっすぐ帰ることにした。なんとなく、自分の中に「何かが溜まってる」感じがしていたから。
部屋に戻ってシャワーを浴び、ドライヤーで髪を乾かす。
いつもならテレビかYouTubeをつけるけど、今日は静かなまま。
ベッドに横になって、ぼんやり天井を見つめる。
そのとき、ふと浮かんだのは、会社の先輩だった。
直属ではないけれど、よく廊下ですれ違ったり、エレベーターで挨拶したりするあの人。
眼鏡越しのやわらかい笑顔と、「お疲れさま」と言われたときの声のトーンが、ずっと耳に残っていた。
(あの人に名前を呼ばれたら、どんな気持ちになるんだろう)
そんな妄想が、じわじわと身体を熱くさせていく。
「…沙織さん」
妄想の中の彼が、仕事終わりの私の手を取って、やさしく名前を呼ぶ。
「今日も頑張ったね。ちゃんと、見てたよ」
その言葉だけで、張り詰めていた心の膜が、音を立ててほどけていく。
身体が自然と温かくなって、手がゆっくりと、お腹の下へと移動する。
軽く太ももをなでると、自分の想像以上にビクッと反応した。
太ももから徐々に手を這わせ、下着の上から大事な部分に触れてみる。そこはすでに、ぬるりと湿っていて、自分でも驚いた。
息を吐きながら、目を閉じる。
「疲れたよね。でも、ちゃんとがんばってるよ」
妄想の中の彼が、私の髪を撫でながら言う。
指先が、下着のすき間からやさしく奥へ進んでいく。
ぬるぬるに湿った大事な部分に触れた瞬間、全身にふわっと鳥肌が立った。
それは“いやらしさ”ではなく、ずっと我慢していた何かが、溶けていくような感覚だった。
胸が熱くなり、呼吸と指使いが徐々に速くなる。
目を閉じながら、繰り返し妄想の中の彼に話しかけられる。
「大丈夫だよ」「ちゃんと見てるよ」「無理しなくていい」
不思議だった。
触れているのは自分なのに、慰められているような気がして、
そしてどんどん、身体が軽くなっていった。
気づけば、肩の力が抜け、背中までぽかぽかと温かくなる。
手の動きはゆっくりだけど、奥の方からじわじわと何かがこみあげてくる。
最後は、涙が滲むような、やさしい終わり方だった。
「頑張ってるよ」って言葉が、心の奥にじんわりと染みて、
自分を否定せずに受け入れる感覚が、ずっと余韻として残った。
ひとりでしているのに、孤独ではなかった。
身体だけじゃなくて、心まで癒やされることってあるんだ、と、あらためて知った夜だった。
■Case.02「すれ違っただけの人に、なぜか心と身体が熱くなって…」
(31歳・販売員)
その日は休日で、ひとりで街をぶらぶらしていた。
新しい服が欲しくて、ウィンドウショッピングのつもりだったけれど、なんとなく気分が乗らずにカフェに入った。
スマホをいじりながら窓の外を見ていたら、反対側を歩いていく男性の姿が目に入った。
目が合った…ような気がした。
黒いTシャツに、少しラフなパンツ姿。イヤホンを片耳につけていて、どこか気だるそうな雰囲気。
特別かっこいいわけじゃない。でも、私の中の「何か」を、一瞬で揺らした。
(あの人、どんな匂いがするんだろう)
(どんな声なんだろう。どんなふうに人に触れるんだろう)
気づいたときには、頭の中で勝手に物語が始まっていた。
会話もしたことがない相手。名前も知らない。
でも、なぜか妄想の中の私は、彼の部屋にいた。
白いシャツを借りて、ソファに座っている。
彼は黙ったまま、私の横に座って、静かに指先を絡めてくる。
言葉はないのに、空気だけで満たされていくような感覚。
妄想の中では、なぜか私はもう濡れていた。
彼に触れられているわけじゃないのに、
「このあと、きっと優しく抱かれる」という予感だけで、身体が反応しているのがわかる。
家に帰ると、その余韻がまだ残っていた。
ベッドに横になり、ジーンズを脱いで、ゆっくりと目を閉じる。
手が、太ももから下腹部へと移動していく。
(さっきの人、私の手を取ってきたらどうしただろう)
(後ろから抱きしめられて、耳元で何をささやいてくるだろう)
想像の中で、私は何度も彼の手を受け入れていた。
そのたびに、背中に電流のような感覚が走る。
自分で触れているのに、誰かに導かれているような気分。
布のすれあう感触や、指先の繊細な動きに合わせて、心もゆっくり波打っていく。
直接的な刺激よりも、「想像の余白」が興奮を高めてくれる。
触れ合っている妄想の中で、何度も彼の手が私をなぞる。
気持ちよさと一緒に、なぜか“安心”があった。
最後は、身体が熱を帯びながら、深く息を吐き出していた。
終わったあと、ベッドに仰向けになって天井を見つめた。
妄想の中でしか知らない彼なのに、どこかで「ありがとう」と思った。
「知らない人」だからこそ、自分の理想も、欲望も、自由に重ねられたのかもしれない。
名前も知らない誰かとの妄想に、心が癒された不思議な夜だった。
■Case.03「二次元の彼にしか、抱かれたくなかった夜」
(21歳・大学生)
彼氏がいないわけじゃない。
むしろ優しいし、連絡もマメで、友だちからは「いい人と付き合ってるね」ってよく言われる。
でも、時々ふと、心がふわっと遠くなることがある。
たとえば、彼にキスされているとき。
たとえば、ベッドで寄り添っているとき。
「本当にこれが、私が求めてる関係なんだろうか」と思ってしまう。
そんなある夜。
ふと開いた漫画アプリで、新刊が更新されていた。
高校時代からずっと追いかけている、あの長身で冷静沈着なキャラクター。
誰にも本音を見せない彼が、ヒロインだけにやさしく笑いかけるシーンを見た瞬間、
胸の奥がぎゅっと締めつけられた。
(この人に抱かれたい)
そんな衝動にも似た想いが、身体の奥から湧きあがってきた。
彼氏がいるのに…なんて気持ちは、そのとき頭から消えていた。
だって現実じゃない。
ただ、脳内でその人の腕の中に飛び込んでみたかった。それだけ。
部屋の明かりを消して、ベッドに横たわる。
漫画のページを思い出しながら、目を閉じる。
「ずっと、俺に触れてほしかったんだろ?」
彼の低い声が、妄想の中で耳元に響いた。
(そんなこと言わない人なのに…)
現実には絶対に聞けないセリフ。
でもそれが、たまらなく心を溶かした。
胸に手をあてながら、呼吸をゆっくり整える。
指先が、肌の上をすべっていく。
自分が触れているのに、まるで彼に触れられているような錯覚。
肌がだんだん熱くなってくる。
唇が乾いて、息が少しずつ荒くなる。
でも焦らず、ゆっくりと自分の感覚をなぞっていく。
彼の指が、私の髪を撫でて、耳元をくすぐって、
そっと首筋を伝って、背中を包み込んでくれる。
それだけで、全身が反応していくのがわかった。
誰にもジャッジされない、完璧に守られた世界。
「好き」と言葉にする前に、心も身体も通じ合っているような妄想の中で、
私は少しずつ自分のリズムに集中していく。
やがて訪れたピークは、心がふわりと浮くような感覚だった。
甘くて、静かで、涙が出るほど安心するような終わり方。
彼氏に対して罪悪感があったわけじゃない。
でも、「この人にしか満たされない部分」が私の中にあることを、
その夜、はっきりと自覚した。
現実の恋では得られない、自由と安心。
誰にも言えないけど、きっと多くの人が持っている、そんな場所。
自分の中にそんな世界があることが、
少しだけ誇らしく感じた夜だった。
■Case.04「彼女の笑顔がまぶしくて、思わず…」
(30歳・保育士)
同期の中でも、特別仲の良い子がいる。
明るくて、笑顔がすてきで、誰とでもすぐに打ち解ける。
私は昔から、そういうタイプに強く惹かれる傾向がある。
飲み会でとなりに座ったとき、ふと腕が触れた。
そのとき感じた体温に、なぜか胸がざわついた。
(あれ、なんで今、ドキッとしたんだろう…?)
自分でも戸惑った。
だって、相手は女性で、恋愛対象だと意識したことなんてなかったから。
でも、それから彼女のしぐさや声が、妙に気になるようになった。
髪を結ぶときの横顔、
小さな声で笑うときの息づかい、
小指がほんの少し触れそうになる距離——
私の中で、それが“恋”ではなく“興奮”として芽生えてしまったのは、
ある夜、彼女と帰り道で別れたあとだった。
「じゃあ、また月曜ねー!」
振り返ったときの無防備な笑顔。
それがなぜか、頭から離れなくなった。
家に着いて、すぐシャワーを浴びた。
身体を拭いて、下着をつける手が止まる。
彼女の髪の香り、声のトーン、指先の長さが、次々と脳裏をよぎる。
ベッドに横たわって、静かに目を閉じる。
「ねぇ、今なに考えてたの?」
妄想の中の彼女が、耳元で囁いてくる。
「かわいいよね、あなたのそういうとこ」
やさしい声に包まれて、胸がきゅうっと締めつけられる。
自分の手が、ゆっくりと太ももに添う。
彼女の手だと思って、そっと撫でる。
そう想像するだけで、身体の奥に熱が広がっていく。
彼女が背後から抱きしめてきて、
指先で背中をなぞってくる妄想に、私の呼吸が変わっていく。
本当に触れ合ったことなんてない。
でも、頭の中では彼女と何度も、何度も、心を重ねていた。
指先が肌の奥の感覚を探るたびに、彼女の笑顔が浮かぶ。
優しく、でも確かに熱を帯びた妄想の中で、私は少しずつ力を抜いていく。
そしてやがて、静かに高まった波が、胸の奥でほどける。
身体を抱きしめたまま、静かに横になる。
(なんでこんな妄想してるんだろう)
そんな自問のあとに続いたのは、否定じゃなく、理解だった。
恋じゃなくてもいい。
性別も関係ない。
あの瞬間のぬくもりを、私は心が欲しがっていたのかもしれない。
「誰かを好きになる」よりも前に、
「誰かに癒やされたい」と思うことは、
きっと間違いじゃない。
そう思えたとき、心が少しだけやさしくなった。
■Case.05「“される側”になることで、私はようやく自由になれた」
(29歳・事務職)
「いつも、頑張りすぎてるよね」
そう言われたとき、涙が出そうになった。
誰かに甘えることが苦手で、
「しっかりしてるね」「何でもできるよね」と言われ続けてきた。
褒められてるはずなのに、どこか孤独だった。
そんな私にとって、“支配される妄想”は、秘密の逃げ場所だった。
夜、ひとりになると、何かがはじける。
言葉を話さなくてもいい世界に行きたくなる。
“命令されたい”というより、
“自分で何も決めたくない”夜がある。
その日も、仕事が立て込んでいて、
同僚のミスのカバーをして、上司に気を遣いすぎて、
帰り道にはもう何も考えたくなかった。
シャワーで一日の気配を流し、
タオルを巻いたままベッドに座る。
電気を落とすと、まるで自分の輪郭がぼやけていくような気がした。
目を閉じて、深呼吸。
脳内に現れるのは、想像の中の“彼”。
年上で、無口で、でもどこかあたたかさを感じる存在。
「静かにして。今日は、何も考えなくていい」
妄想の中で彼は、私の手首をそっと掴む。
無理に強くされるわけじゃない。でも、反抗できないほどに静かで強い。
彼の手が、私の肩を撫で、首筋に触れ、耳元に息を落とす。
その瞬間、心がじんわりと溶けていくのを感じる。
指が、自分の太ももをなぞる。まるで、彼がそこにいるかのように。
自分の身体を、自分の意思ではなく“誰かの意図”で動かしているような錯覚。
でもそれが、たまらなく安心できた。
「そのまま、動かないで」
「いい子だね。すごく、きれいだ」
誰にも言われたことがない言葉なのに、
なぜか涙が出そうになる。
本当はずっと、そんなふうに扱われたかったのかもしれない。
指先が呼吸に合わせて動くたびに、身体がしずかに応えていく。
意識の奥で波が広がっていくような、優しい快感。
それは“興奮”というより、“解放”だった。
やがて、小さな震えが身体を通り過ぎたあと、
私はようやく深く息を吐いた。
“彼”は何も言わず、ただ私を包み込む。
そんな妄想の中で、私はようやく無防備になれた。
現実では強がってばかりの私が、
「大丈夫だよ」と誰かに言ってもらえる場所。
誰かの意思に身を委ねることで、心が自由になる世界。
自慰というより、感情のデトックスだった。
こういう夜があることで、私はまた“ちゃんとした私”に戻れる。
たとえ妄想でも、
“誰かに守られている自分”を想像できることは、
きっと私の心を、何度も救ってくれていたのだと思う。
おわりに:妄想は、あなたの自由でやさしい世界
誰にも言えないような妄想で、自分に触れる。
そんな時間を「恥ずかしいこと」だと思っていませんか?
けれど、空想の中だからこそ安心できる。
現実では言えないことも、望めないことも、
すべて許される場所が“妄想”にはあります。
そこには、あなた自身の欲望・癒し・自己理解が詰まっているのです。
- 誰かに甘えたい夜
- 現実の恋では埋まらない想い
- 心と身体がずれてしまう時
妄想は、そんなあなたの心をそっと受け止めてくれる、静かであたたかな避難場所。
「妄想なんて子どもっぽい」
「こんなことで気持ちよくなるなんて変かも」
そんなふうに思わなくて大丈夫。
誰にも言えない秘密こそが、あなたを知る鍵になることもあるから。
今日より少し、自分にやさしくなれるように。
ここで読んだ物語が、あなた自身の心を肯定するひとつのきっかけになれば嬉しいです。




